


中学受験の算数で、多くの受験生が壁にぶつかる単元のひとつが「仕事算」です。
お子さんが「仕事算がわからない…」と悩んでいる姿を見て、「どう教えれば理解してくれるのだろう?」と頭を抱える保護者の方も多いのではないでしょうか。
仕事算は「目に見えないもの」を計算するため、抽象的でイメージがしにくいのが特徴です。しかし、つまずく原因を理解し、正しいアプローチ(解き方)を知れば、確実に得点源にできる単元でもあります。
この記事では、「仕事算がわからない」と悩む受験生が陥りがちな原因から、劇的にわかりやすくなる「最小公倍数」を使った解き方、そしてご家庭でのサポートのコツまでを詳しく解説します。
子どもたちが仕事算を苦手とするのには、明確な理由があります。
まずは、どこでつまずいているのかを把握しましょう。
塾のテキストなどで最初に教わるのが、「全体の仕事量を『1』とする」という考え方です。しかし、小学生にとってこの「1」は非常に抽象的です。
「折り紙を100羽折る」「穴を10m掘る」といった具体的な数字がないため、「1って何?」「なぜ1にするの?」と混乱して、スタート地点から進めなくなってしまいます。
全体の仕事量を「1」とすると、1日あたりの仕事量は「1 ÷ かかる日数」となり、必ず分数(例:15日で終わるなら1日あたり15分の1)が登場します。
仕事算の応用問題になると、通分や分数の割り算が複雑になり、考え方はあっていても計算ミスでバツになってしまうケースが多発します。これが苦手意識を加速させます。
「A君が3日休んだ」「途中からB君も加わった」など、条件が複雑になると、頭の中だけで処理しきれなくなります。
誰が、いつ、どれだけの仕事をしたのかを線分図や面積図に整理(図式化)する習慣がついていないと、途中で式が立てられずにお手上げ状態になってしまいます。
仕事算には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
それぞれの特徴を理解しておきましょう。
塾の基本テキストで最も一般的に解説されている王道のアプローチです。
例: A君が10日で終わる仕事なら、A君の1日の仕事量は「10分の1」。B君が15日で終わるなら「15分の1」。
| メリット | どんな問題にも論理的に対応できる。 |
|---|---|
| デメリット | 分数の足し算・引き算・割り算が必須となり、計算ミスが起きやすい。 |
算数が苦手な子に絶対おすすめなのが、全体の仕事量を「かかる日数の最小公倍数」に設定するアプローチです。
例: 10日と15日なら、最小公倍数の「30」を全体の仕事量とする。A君の1日は「30 ÷ 10 = 3」、B君の1日は「30 ÷ 15 = 2」。
| メリット | 整数だけで計算が進むため、計算ミスが激減する。イメージがしやすい。 |
|---|---|
| デメリット | 最初のかけ算(公倍数を見つける)で数字を間違えると、全て間違えてしまう。 |
それでは、実際に「最小公倍数」を使った解き方で、よく出るパターンを攻略してみましょう。
【問題】 ある仕事をするのに、A君1人では10日、B君1人では15日かかります。この仕事を2人で一緒にすると、何日で終わりますか。
【答え:6日】
※すべて整数で計算できるため、とてもスムーズです!
【問題】 A君1人では12日、B君1人では24日かかる仕事があります。最初A君が4日間働き、残りをB君が1人で仕上げました。B君は何日働きましたか。
【答え:16日】
【問題】 空の水槽をいっぱいにするのに、Aの管では20分、Bの管では30分かかります。両方の管を同時に開くと何分でいっぱいになりますか。
水槽算も、言葉が違うだけで中身は仕事算と全く同じです。
【答え:12分】
ご家庭でお子さんの勉強を見る際、以下のポイントを意識すると理解度がグッと上がります。
「1とする」という解き方でフリーズしている子には、「じゃあ、仕事の全体を分かりやすい数字に変えちゃおう!」と提案してみてください。「折り紙を30枚折る仕事だとして考えてごらん」と具体物で例えてあげると、急にスラスラと解き始めることがよくあります。整数で解ける成功体験を積ませることが第一歩です。
途中で人が変わる問題では、横軸に「日数」、縦軸に「1日の仕事量」、面積を「全体の仕事量」とした面積図を描くサポートをしてあげてください。頭の中の数字を紙の上に「見える化」するだけで、子ども自身が「次はどこを計算すればいいか」に気づきやすくなります。
「仕事算がわからない」という悩みは、決して珍しいことではありません。つまずく原因の多くは、「全体を1とする抽象的な概念」と「分数の複雑な計算」にあります。
まずは全体の仕事量を「最小公倍数」に置き換える裏ワザ的アプローチで、整数のままスッキリ解ける感覚を掴ませてあげてください。そして、図を描いて状況を整理する癖をつければ、仕事算は確実に得点源へと変わります。
ぜひ、今回ご紹介した方法をご家庭での学習サポートに取り入れてみてください!