


中学受験の算数で、計算ミスが頻発する単元といえば「時計算」です。
「長針と短針が重なる時間は?」「一直線になる時間は?」といった問題に対し、最終的な答えが「11分の〇」という複雑な帯分数になるため、途中で計算の迷路に迷い込んでしまう受験生が後を絶ちません。
しかし、時計算は「ある1つの裏ワザ」を使うだけで、厄介な計算プロセスを劇的にショートカットできます。
本記事では、テスト本番で時間を稼ぐ(タイパを最大化する)ためのチート級の解き方と、その根本的な仕組みを分かりやすく解説します。
時計算の正体は、円の周りを回る「旅人算(追いかけっこ)」です。この追いかけっこを最も簡単に処理する魔法の数字が「5.5度」です。まずはこの数字の秘密から紐解いていきましょう。
時計の2つの針が1分間にそれぞれ何度進むのかを計算してみます。
時計の文字盤を1周すると360度です。
| 長針(速い人) | 60分で360度進むため、1分間に 6度(360 ÷ 60 = 6) |
|---|---|
| 短針(遅い人) | 12時間(720分)で360度進むため、1分間に 0.5度(360 ÷ 720 = 0.5) |
長針が短針を追いかけるとき、1分間に縮まる角度の差は「6度 − 0.5度 = 5.5度」になります。これが時計算のすべてを解き明かすカギです。
1分間に5.5度ずつ差が縮まる(または広がる)ことが分かれば、解き方は非常にシンプルになります。時計算のあらゆる問題は、以下の公式に当てはめるだけで解くことができます。
【裏ワザ公式】 追いつくべき角度 ÷ 5.5 = かかる時間(分)
小数の割り算が面倒に感じるかもしれませんが、ご安心ください。
さらにスピードアップさせる「真の裏ワザ」が次に控えています。
「5.5」という小数は、分数に直すと「11/2(2分の11)」です。
割り算を分数のかけ算に直すときは逆数にするため、「÷ 5.5」は「× 2/11(11分の2をかける)」と全く同じ意味になります。
【最強公式】 追いつくべき角度 × 2/11 = かかる時間(分)
この公式を使えば、小数の計算ミスを完全に防ぎ、一発で中学受験特有の「分母が11の分数」を導き出すことができます。
最強公式「× 2/11」を使って、テストで確実に出題される3つの頻出パターンを瞬殺してみましょう。
【例題】4時と5時の間で、長針と短針が重なるのは4時何分ですか。
【答え】4時21と9/11分
【例題】4時と5時の間で、長針と短針が一直線になるのは4時何分ですか。
【答え】4時54と6/11分
直角になるのは、1時間の間に「長針が追いつく前」と「長針が追い越した後」の2回あることに注意が必要です。
【例題】4時と5時の間で、長針と短針が直角になる時間をすべて求めなさい。
【答え】4時5と5/11分、4時38と2/11分
「× 2/11」の裏ワザは非常に強力ですが、公式だけを丸暗記させると、少しひねられた問題でお手上げになってしまいます。ご家庭でサポートする際は、以下の点に注意してください。
計算に入る前に、まずは「〇時ちょうどの時計の絵」を描かせることが最も重要です。
文字盤の数字1つ分が「30度」であることを意識させ、長針と短針が最初からどれだけ離れているか(ハンデがどれくらいあるか)を視覚的に捉えさせることで、立式のミスを未然に防ぎます。
子どもが「足すのか引くのか」で迷った時は、「速いお兄ちゃん(長針)が、前にいる弟(短針)を追いかけているよ」と旅人算に置き換えて声かけをしてください。「追いついて、さらに引き離す」というイメージが湧けば、角度を足し引きする意味が腑に落ちるはずです。
難関校では、基本の裏ワザを応用した問題が出題されます。
ここでは考え方のヒントをご紹介します。
「文字盤の12と6を結ぶ線を軸に、2つの針が左右対称になる時間」といった問題です。
これは「長針が動いた角度」と「短針が動いた角度」の和に注目します。針の動く速さの和は「6度 + 0.5度 = 1分間に6.5度」です。「差(5.5度)」ではなく「和(6.5度)」を使うのが攻略のコツです。
「正しい時計が60分進む間に、58分しか進まない時計」といった問題は、時計算ではなく「比と割合」の問題です。「正しい時計:狂った時計 = 60:58 = 30:29」という速さの比を立てて処理していくのが王道ルートになります。
時計算の計算スピードを極限まで高めるため、テスト直前の確認に使えるチートシートをまとめました。
これを覚えておけば、最初の「30度 × 〇」の計算すら不要になります。
| 1時(13時) | 30度 |
|---|---|
| 2時(14時) | 60度 |
| 3時(15時) | 90度 |
| 4時(16時) | 120度 |
| 5時(17時) | 150度 |
| 6時(18時) | 180度 |
| 7時(19時) | 210度 |
| 8時(20時) | 240度 |
| 9時(21時) | 270度 |
| 10時(22時) | 300度 |
| 11時(23時) | 330度 |
時計算は「スタートの角度を出す」→「進むべき角度を決める」→「× 2/11 をする」の3ステップで必ず解けます。分数の計算結果が「11分の〇」になれば、計算方針はほぼ間違っていません。ぜひこのページをブックマークして、模試やテスト本番前の最終チェックとしてご活用ください!